2011/07/30 後編追加いたしました(完)
2011/07/04 (Mon) 22:11:13
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“一生のお願い”。この言葉に俺はどうも弱い。特に助けを求める女の言葉には。
何か念がこもっている。と言うか、未知的な力と言うか、反作用と言うか、あ~! 自分で言っていて訳が分からん!
とにかく、事の発端は俺ん家で起こった。
俺は中学生の頃から毎日欠かさずに買っていた、“ある物”を自宅で整理整頓している最中だった。
その“ある物”とは、高校生活を彩るに必須のバイブル――エロ本のことだ。
秘蔵のエロ本コレクションを押入れやベッドの下から取り出して、たまたま見ていた時。唯一無二の安らぎ空間に彼女が無断で侵入。ドタバタと裸足で乗り込んできたんだ。某アニメで登場する、メガネを掛けた少年が未来から来たネコ型ロボを頼るみたくね。
慌てて隠そうとする俺こと最上川恭介(もがみがわ きょうすけ)、18歳、今年の春、卒業。――ある意味で人生もか。
瞬時に大量のエロ本は隠せたが、流石にゴミ箱一杯の使用済みティッシュは隠せなかった(盲点だった。忘れていた)。手も頭も廻らず、非常に焦る俺としては、かなり気まずかった。がッ!
「透ぅ! 一生のお願いっ!」と言われた時、彼女はアレの痕跡に全く気づいていなかったのだ。ついでに俺のアソコの状態にも。よっしゃラッキー。と思ったのも束の間。
目と鼻の先まで、彼女が正座でスライディングし、目を瞑って頼のみこんできた。ドキっと再び焦る俺。しっとり汗ばんだ額が俺に近寄る。フローラルな良い匂いもついでに。
彼女が非常識なのは、重々承知。俺も充分、股間が非常識なのかも知れないけど。この際、ゴミ箱の隅にでも置いとこう。
とりあえず、何度も色・即・虚・空・空・即・是・色。と煩悩よ去れ。頭をカラッポに。静まれ俺のピンクの象よ。と脳内を空白で埋めながら、カタコト早口で彼女に返答していた。
自分では極自然(不自然)に、気づかぬ程度に彼女から離れて動き、とある不審物を誤魔化しながら。
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