スキンウォーズ
2010年05月23日 皮モノ・オリジナル・小説
K27(著) みゆき(画)
かつて、この世界――キンスには女神が居た。女神の名はアルンテンシア。世界を滅ぼそうとした最初で最後の神にして邪神である。
彼女は人間達の目に余る行いの所為で邪に染まったのだ。自然や動物を蹂躙する姿を見て。人間を愚かだと見下し、戦いを挑んでいく。
それが第一次キンス戦争の始まりである。この戦争で世界の半分近い、人間達が死に絶えた。悲しみが世界を包み込み。憎しみが芽をだす。
――戦いは自ずと激化していった。そんな時だった、三人が現れたのは。勇者と呼ばれる存在。彼ら三人はアルンテンシアと互角の力を持っていた。
一見勇者の方が有利に見える。だが問題は別にあった。幾度、殺してもアルテンシアは死ぬ事は無い。不死の存在だった。つまり何時までも決着を迎えないと言う事だ。だから勇者は封印の道を選んだ。
決死の戦いにより勇者達はアルンテンシアを封印し一枚の皮にした。その後、勇者達はその皮を厳重に保管する為、三人で守る事にしたのだ。
そして、年月が経つにつれて世代も交代していく。その皮が現在保管されているのがココ――キンス神殿である。床も壁も全てが大理石で造られており、無駄に高級感がある場所。
中央にある、紋様の描かれたガラスケースの中には女神の皮が飾られている。今でも皮からは大量の魔力が夥しい程漏れていた。それを封じるかの様に一人の男が呪文を唱え続けている。
彼が詠唱していると、何処からか甲高い声が聞こえた。彼は声のする方を向く。
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